巨大IT企業の中央集権に待った!「Web3」で変わるインターネットのカタチ

こころみマガジン

先日、ブロックチェーンをテーマにした記事を書いた。

ブロックチェーンに関連する話題として「Web3.0」について語りたいと思う。

ブロックチェーンの基本コンセプトは、「アンチ中央集権」。管理する組織に依存せず、みんなで運営していこうという考えだ。

Web3もブロックチェーンを基盤としたもので、コンセプトは変わらない。

が、Web3は「個人とインターネットとの関わり方」に焦点を当てた点に違いがある。

Web3.0までの道のり

「個人とインターネットとの関わり方」には、これまで歩んできた道のりがある。

一般の人がインターネットを使うようになったのは、1990年代ごろから。

1995年に「Windows95」が発売されて、コンピューターに詳しくない人でも直感的に操作ができるようになったことから、インターネットにアクセスする人が増えた。

このころは、インターネットに接続する際に、モデムを使っていた。

モデムは電話線につなぎ、電話線からインターネットに接続する。

接続ボタンを押すと「ぴ~ひゃらひゃらひゃら、が~」という音が数秒続いた後に、やっと接続されるのだ。

ホームページの表示も、ゆ~っくり。

それでも、いろいろなホームページを見たり、遠隔地にあって普段は買いに行けないお菓子をオンラインで買えるようになったりと、とても楽しかった。

このころ個人がインターネットを利用する際は、基本的に見る専門だった。

これが「Web1.0」の時代。

2000年代に入って、SNSが登場したことで、情報のやり取りが「見る専門の片方向」から「双方向」へと変化する。

私のSNSは極めて低飛行なのだが、それでも知らない人とやりとりするのは楽しい!

「Web2.0」は、個人とインターネットとの関わりを劇的に変えた。

ただ、SNSツールを享受する代わりに、個人のプライバシー情報を差し出しているのも事実。

「データは21世紀の『石油』」と言われる通り、データを持つものが市場を制す。

企業は喉から手が出るほど、データがほしいのだ。

そのためWeb2.0の時代は、巨大なプラットフォーマーが出現した。

プラットフォームに参加する個人の情報は、プラットフォーマーが独占する。

EUでは、「データは企業のものではなく、個人のものだ」として2018年に「GDPR(一般データ保護規則)」を施行した。

世界で最も厳しい個人情報保護の法律と言われ、違反した際の罰則も桁違い。

Cookieを使った行動追跡には事前の同意が必要で、企業のホームページを開くと同意について承諾ボタンが出るのは、見たことある人も多いだろう。

「自分のデータを完全に消したい」「他のサイトにデータを移行したい」という権利も保護されている。

このように「個人のデータを個人で管理する」流れの中で生まれたのが、「Web3.0」となる。

画像出展:経済産業省HP https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/Web3/index.html

Web3.0のカギを握る「認証技術」

Webサイトやアプリで会員登録をすると、アカウントのID・パスワードを設定する。

何より、自身のアカウント情報管理を企業に依存することになる。

それ以前に、サービスごとにアカウント情報を登録し、認証するのは「わずらわしい」と感じる人は少なくないだろう。

星の数ほどアプリがあるのに、アカウントのパスワードを使いまわしにしないようにすると、どのアプリがどのパスワードだったか忘れてしまう。

こうした煩雑さを解消するべく、各サービスではSNSアカウントの連携を提供している。

例えば、インスタグラムのアカウントでログインすると、対象サービスの認証が通る。

便利な機能だが、これも問題がある。SNSの企業に自分がどのアプリにアクセスしているのかという情報を独占されてしまうのだ。

さらにサービスの提供者がサイバー攻撃を受けた際には、アカウントの情報が窃取されてしまうリスクもある。

そのためアカウントという「個人情報」を企業に預けず、自身で管理しようという考えがWeb3.0にはある。

Web3.0の主な認証技術を紹介しよう。

  • 暗号化ウォレット

暗号資産ウォレットを使って認証する仕組み。公開鍵がユーザーIDの代わりとなり、秘密鍵で電子署名することで認証する。

  • 分散型アイデンティティ(DID)・検証可能クレデンシャル(VC)

ブロックチェーンなどを利用して自分のIDを記録し、認証を行う。W3C(World Wide Web Consortium)によって国際標準化が進められている。

DIDと組み合わせて使う「デジタル証明書」の技術として検証可能クレデンシャル(VC)がある。

学校や政府が発行した証明書を自分のウォレットに保管する。サービス側は証明書の内容を知ることはできないが、「提示する条件に合致しているか」を検証することができる。例えば生年月日を明かさずに「18歳以上であること」を証明できるのだ。

  • ソウルバウンドトークン(SBT)

デジタルアートの証明書に使われるNFTの一種で、譲渡や転売ができない特殊なNFTとしてソウルバウンドトークン(SBT)がある。学歴や資格などをSBTとして個人のウォレットに付与することで、認証する側はSBTを見て信頼性を確認し、認可する。

  • アカウント抽象化

今まで紹介したものは秘密鍵を利用する必要がある。ブロックチェーンの基本は良くも悪くも「自己責任」。秘密鍵をなくしてしまうと、二度と復旧できなくなってしまう。趣味で使うサービスならログインできなくてもあきらめられるが、もし暗号資産の口座だったら…なんと引き出すことができなくなってしまう。その時にサポートしてくれる管理者はいない。

「アカウント抽象化」は、信頼できる家族や友人から承認を得られれば新しい秘密鍵を再発行できる技術。もしもの時も安心できる。

個人が自律性を要求される時代

ブロックチェーンを使えば、不動産取引も仲介者に頼ることなくできる。

とはいえ高い高い買い物なので「仲介してくれる人がいた方が安心」という思いもある。

「組織に支配される時代」からの脱却。それは「助けてくれる人がいない」ということでもある。

組織に依存せずに生きていくのは、自由もあり、厳しさもある、ということか。