今後の主流になる?大注目の「ペロブスカイト太陽電池」

こころみマガジン

かなり前の話になるが、「オフサイトPPA」の取り組みについて、実際に運用している方を取材したことがある。

オフサイトPPAとは、企業の敷地外(オフサイト)にある発電所で作られた再生可能エネルギーを長期的に購入するというもの。

自社内に発電所を作る(オンサイト)の場合は専用の配線で直接つなげばよいが、オフサイトの場合は電力会社の送電網を通して電力を供給するという違いがある。

この時の事例は、大きな畜舎の屋根に太陽光パネルを設置して発電しており、「畜舎の断熱にも効果があるんですよ」とお話されていた。

従来の太陽光パネルは、シリコン製太陽電池と呼ばれ、ガラスパネルが必要なことから、設置するには耐荷重のある頑丈な屋根、広い土地が必要だった。

そこで今、注目されているのが「ペロブスカイト太陽電池」だ。

日本発!フィルムのように曲げられる太陽電池

「ペロブスカイト」とは、結晶の構造(ペロブスカイト構造)のこと。

フィルムに材料を塗布(印刷する)だけで作ることができる。

フィルムではなく、ガラスに塗布する「ガラス型」もあるが、日本がリードしているのは「フィルム型」だ。

フィルム型はシリコン製のような大規模な設備が不要で、日陰や室内でも発電が可能。

シリコンは外国からの輸入に頼らなければならないが、フィルム型の材料となるヨウ素について、日本は第二位の産出量を誇る。

参考:経済産業省「次世代型太陽電池戦略(案)」(2025年11月)https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/perovskite_solar_cell/pdf/008_s01_00.pdf

ペロブスカイト太陽電池は、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授らが発明した日本発の技術、という点も日本人としては嬉しい。

もうひとつ、ペロブスカイト太陽電池が普及すれば、私たちが毎月支払っている電気料金が安くなるという期待もある。

シリコン製の太陽電池は、見てわかるとおり、非常に設置コストが高い。

そのコストに見合う電気の料金を保証するべく、政府が2012年に設けたのが「FIT制度」だ。

2011年に東日本大震災が発生し、再生可能エネルギーを増やそうという機運が高まったのも背景にある。

FIT制度は、再生可能エネルギーを電力会社が一定期間、一定の価格で買い取るというもの。

この制度により、太陽光発電が一気に普及した。

買い取る料金は、国民全員が「再エネ促進賦課金」という形で毎月負担している。

ペロブスカイト太陽電池により、設置コストを下げることで、電力の市場価格にある程度合わせた料金を設定できれば、国民全員の負担が減る。

それだけでなく、自宅にペロブスカイト太陽電池を設置することで、電気を自家発電である程度賄うことができるかもしれない。

普及に向けた政府の施策

日本では、1973年のオイルショックを契機に太陽光パネルの技術開発を開始。

2000年ごろには、なんと世界シェア50%にまでなった。

しかし海外勢に押され、今では日本のシェアは1%未満。

日本の復権に向けて、政府もペロブスカイト太陽電池に力が入ろうというものだ。

太陽電池には、ペロブスカイト以外にも様々なタイプが開発されているが、社会実装にもっとも近いのがペロブスカイトとされている。

実際、一部の企業ではすでに事業化が開始されている。

政府はペロブスカイト太陽電池の普及に向けて、規制・制度改革に取り組んでいる。

私がペロブスカイト太陽電池に対して期待していることがもうひとつある。

それがシリコン製の課題でもある「地域との共生」だ。

私が子供のころによく遊んだ小山に、太陽光パネルがビッシリ並んでいるのをみて、複雑な思いを抱く。

もちろん再生可能エネルギーは、サステナブルの観点からとても重要なもの。だからこそ、地域の景観も大切にしたいのだ。

こうした課題も「ペロブスカイト太陽電池」で解決できるだろうか。