2年ほど前のことになるが、この本の制作秘話について取材をさせていただいた。
セキュリティ本といってもいろいろな種類があるが、この本はごく身近なことが解説されており、すべての人に知ってほしい内容だ。
「セキュリティ 7つの習慣・20の事例」(エムオーテックス株式会社)
最近、SNSで炎上するというニュースがよくある。短文と画像で表現するSNSでは、真意がうまく伝わらなかったり、アップするべきではない画像をアップしてしまったり、あわてて削除しても永遠に拡散されたり・・・いやはや、ぜんぜんSNSを活用できていない私がいうのもなんだが、SNSってめんどくさい。
めんどくさいだけでなく、他の人と誤認識されてしまい、いわれのない誹謗中傷を受けている人の話を聞くと怖い。それもネットの世界だけでなく、職場や自宅に中傷する電話がかかってくるというのだから、本当に怖い。
でも「SNSはやらない方がいい、というのは人づきあいしない方がいいというのと同じ意味で、現実的でない」と言っていた人もいて、一理あるなと思う。これからはインターネットのゆるいつながりのなかで、いろいろなことが創造されていくのだと思う。
特にSNSは急激に広まったツールだから、リテラシーが追いついていないという面もあるだろう。この本は、SNSの使い方だけでなく、端末の扱い方、Wi-Fiを利用するときの注意点など、役立つ知識が盛り込まれている。
MOTEX社というと、「LanScope」というIT資産管理・情報漏えい対策ツールを提供しており、IT部門の人たちにとってはおなじみの会社だ。同社のノウハウをもとにセキュリティ有識者を監修を依頼して作っている。
「すべての人にわかりやすく」を第一に考えた内容
この本は、タイトルにもある通り、7つの習慣と20の事例について解説されている。7つの習慣では、情報通信機器を使う上で、日ごろ気を付けておきたい内容が解説されている。例えば第1の習慣は「ソフトウェアアップデータ」なのだが、OS、アプリケーション、Webブラウザにおいてそれぞれ解説している。
20の事例については、問題形式になっている。「パスワードを単純な文字列にした」という事例に対して適切な答えを選び、ページをめくって答えを確認する。
全編にわたって、イラストが多用され、シンプルな文体で解説されているのが特徴。イラストに登場する茂礼手 太朗(もれて たろう)課長や布施木 ます子(すせぎ ますこ)さんといったキャラクターも作り込んであり、親しみを持って読めるような工夫がされている。
無料でダウンロードできる
正確に言うと書籍は購入する形になるので無料ではない。しかし、キンドル版は無料だし、エムオーテックス社のサイトからPDFファイルでダウンロードできる。無料ダウンロードにありがちな、個人情報の入力も必要ない。サイトには講師用の資料や、社内で印刷して壁に貼る用のポスターまであり、至れりつくせり。
会社でセキュリティのリテラシー向上で活用するなら、ポスターはおすすめ。昔ながらのオーソドックスな方法だけど、周知徹底を図るなら壁に貼るのが一番だと思う。
上級者にも読み応えあり
事例も豊富なので、セキュリティリスクにはどんなものがあるのか、実感を伴って理解できる。上級者というか、日ごろよく使っていてリテラシーは高いと自負している人でもぜひ一度読んでほしい。知識に抜けはないのかをチェックできるはず。
これからリテラシーが向上し、インターネット越しの交流が成熟していけば、今問題となっていることも解消できるのではないかと思う。未来がよい形になるようにたくさんの人に読んでほしい。