古い本だが、若い人に読んでほしい。
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
ドラッカーはオーストリア生まれの経営学者であり、経営コンサルタントでもある。フランクフルト大学を卒業後、上梓した論文がナチスの逆鱗に触れると考え、英国に逃れる。保険会社のアナリストなどを経験後に渡米してニューヨーク大学の教授を務めた。
書いていて思い出したのだが、2009年に日本でも「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」が流行ったなあ。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
女子マネがドラッカーの組織論を野球部に導入してめざましい成果をみせるという話。前田のあっちゃんが女子マネ役で大泉洋が野球監督役だった。
もしドラは組織論だったが、「プロフェッショナルの条件」は、ドラッカーの膨大な著書の中から個人の生き方、働き方に言及した部分を引用・編集したものだ。
なので、全体の構成は過去の人間の歴史を経済を中心に読み解き、その後仕事への姿勢やリーダーシップ論を挟み、今後自分が目指すものをどのように見つけていくべきか、社会はどのように変わるのかで締めくくられている。
このような構成ではあるが、引用したものを集めただけなので、どこからでも「つまみ読み」ができて忙しいビジネスパーソンにもありがたい本といえる。
いち職業人として参考にするべきことが凝縮されているのは、Part3ではないかと思っている。ここでは、ドラッガーが自身の半生を振り返り、その当時に影響を受けた人の言葉や振る舞いが自分の原体験となったことをつづっている。
「自分の強みを知る」「自分の得意な仕事のやり方を知る」「自分の価値観を知る」というのは、働く上で、生きる上で明確にしなければならないこと。ドラッカーの言葉は心を打つ。
ドラッカーは言う。個人の価値観と組織の価値観は違うのだと。たとえ組織の中で成功していたとしても、自分の価値観に合わなければ自分の価値観を優先すべきだというのだ。そして、価値観にあう機会を掴むのが最高のキャリアとなる。
そして、大抵の人の場合はひとつの仕事をずっと続けていては飽きてしまう。そして、誰もが成功するわけではない。しかし、第二の人生を送ることで、別の方面で成功をおさめることができるかもしれない。そして、新たな仕事をするにあたってモチベーションが上がるかもしれない。
この仕事感は、今の日本の副業解禁の流れや、多様な働き方というところに通じるものがあり、興味深い。
決して読みやすい本ではないが、ドラッカーの仕事の経験などを織り交ぜていて、言っていることが実感できる。ハウツー本のようにそっくり真似るのではなく、これから自分の軸を作っていく上で参考にしたい考え方だ。