
先日、岐阜県がメタバースの婚活イベントを開催したというニュースをXで紹介した。
メタバースとは、インターネット上に作られた仮想の空間。
その世界に自分がアバター(分身)として参加する。
件の婚活イベントは、仮想空間で出会いを探す形になる。
仮想空間の公園を歩き回ると、いろいろな人(というかアバター)に出会う。
話してみて、気が合いそうなら結婚を前提としたマッチングが成立する…というイベントだ。
これが自治体のイベントってえ~?と思ったが、会社員時代の同僚でSNSで知り合って結婚した人がいたし、最近の若い人は、リアルな出会いよりも、SNSで出会ってお付き合いすることが多いらしい。
とすると、”実物”を見ないまま交流するのも、結構普通なことなのかもしれない。
このイベント、過去3回で16組のマッチング成立。すごい。
その他にも、江戸川区や港区では「メタバース区役所」を提供している。
「行かなくてもいい区役所」はとても便利だし、江戸川区では5言語に対応しているということで、外国人にも心強いサービスではないだろうか。
メタバースとは
コロナ禍の際に「リモートワーク」が一気に注目されるようになった。
その先駆者である方にインタビューをしたことがある。
その方は会社を経営しており、社員は全てリモートワーカー。
リモートで行ったインタビューでは、日頃から使用しているデジタルオフィスを見せてもらった。
そのデジタルオフィスの中では、社員に一人ずつ自分の席があり、出社する(ログインする)と自分のアイコンが自席に表示される。
自分の席にいると、そばにいる人の声が聞こえるし、話しかけることもできる。
会議室や休憩室に自分のアイコンを移動させると、周りの人の声が聞こえなくなる。
「トイレなどで離席する際は休憩室にアイコンを移動させる」というルールらしい。
その人が何をしているのか、アイコンの位置で大体わかってしまうのだ。
その頃はリモートワークが本格化したばかりのころで、世間には「リモートワーク中にゴルフをしていた」(つまり仕事をサボっていた)なんて猛者もいたものだ。
でもこのデジタルオフィスにいたら。
「とてもじゃないけどサボれないな(汗)」と思ったのだった。
このデジタルオフィスは三次元の空間ではないので、厳密にはメタバースとは言えない。
が、考え方としては同じだと思う。仮想の空間にリアルな空間(ここでは自社オフィス)と同じ機能を持たせるということだ。
メタバースの始まり
メタバースという概念はどこから生まれたのか。
実はメタバースは、技術分野から誕生したのではない。「スノウ・クラッシュ」(ニール・スティーヴンスン著)という小説から始まっている。
作品では人々がゴーグルを身につけ、仮想空間をアバターとして活動する。まさに現在のメタバースそのものだ。
メタバースはSF小説から生まれた、想像の中の概念だった。
しかし、技術の進歩によって実際にメタバースが作られるようになり、後にゲームやSNSと融合していく。
人が集まって対戦する。人が集まって交流する。
次第に「人が集まる場所」になっていったのだ。
見た目からの解放がもたらすもの
そしてゲームやSNSだけでなく、コンサート、ショッピング、先ほど紹介したような職場のように、様々な機能を持たせている…というのが現在の形。
リアルな世界と瓜二つの仮想空間があり、リアルな世界とつながっている。
でもアバターによって、自分の見た目から解放される。「こんな格好で行ってもいいんだろうか…」「女性だと入りにくい」「若い人ばっかりで居心地悪いんじゃないか」といったことがない。
思えば、見た目で判断されることはよくある。蔑まれたり、舐められたり、怖がられたり。
見た目からの先入観が取り払われ、現実のような空間で現実のような体験ができる。
メタバースが利用者にもたらすもの、それは「孤独感のやわらぎ」だという調査結果もある。
身体差が限りなくゼロになった世界。今後どのように成熟していくのだろうか。
