気の遠くなるほど丁寧な仕事。饗 くろ喜(東京都千代田区)

塩ラーメンって、スープの味に特徴を出すのが難しいから、RAMEN CiQUEを超えるラーメンは出てこないだろうなーとなんとなく思っていた矢先。
見つけてしまいましたよ。私好みのお店を。

饗 くろ喜(もてなし くろき)

くろ喜_外観
秋葉原駅から徒歩10分くらい。電気街の喧騒から少し離れた場所にある。店主は料亭などで研鑽を積み、料理人21年目の2011年にこの店を開いた。
店主はブログを運営していて、精力的に投稿している。私は飲食業界のお客様から仕事をいただくこともあるが、忙しいがゆえに発信を続けていくことがとても難しい業界だと感じる。にもかかわらずだから、すごいなーと思う。

記事の内容からみると外部に委託しているわけでもなさそうだし。社内で担当するにしても専任を置くことは相当大規模なチェーンでないと難しい。そんななか、2012年からコンスタントに発信をしている。すごい。

饗 くろ喜のブログ→https://ameblo.jp/motenashikuroki/

今の時代は新規に顧客を開拓することが難しいから、リピートを増やすべくSNS発信に取り組むお店が多い。ツイッターやインスタならブログを書くよりも負担も若干軽くなるとは思うが、それでも大変なのだ。

お店には行列ができていて、並んでいると、スタッフが食券を買うように案内してくれる。食券を買ったら並びなおして入店。ここまで15分くらいだったと思う。

味玉塩そば 1,100円

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自動券売機の前で、「う~ん。この値段かあ」とうなる禁断の1,000円超え。いや、よくよく考えるとフレンチやイタリアンでは3,000円ランチなどザラにあるわけだから、相場として高くても「べらぼうに」というわけではない。最近のラーメン店は全体的にどんどんレベルが上がっていて、各店創意工夫を凝らしているのだから、価格が上がっても当然のことなのだが。
しかし、丼が来たのを見ると・・・いやはや、これは原価かかってますがな。

刻んだ小松菜と紫タマネギ、ドライトマト、ニラが見目麗しく盛り付けられている。見た目だけでなく、味や食感のバランスも考え抜かれている。

中央のチャーシューは今はやりの、鶏と豚の二種盛り。どちらも脂っぽさを感じず肉のうまみを凝縮した味わい。鶏のチャーシューには、なんとオリーブが埋め込まれている。どんだけ手をかけるのか。

ドライトマトといい、オリーブといい、イタリアンの要素を塩ラーメンに取り入れて、味に深みを出す意図が読み取れる。

肝心のスープは、もはや「やさしい味」という形容を許さないよいほどの深い旨み。複雑な味の構成でありながら、雑味を感じず、奥行きがある。

軍鶏の油そば 1,100円

くろ喜_軍鶏

こちらは限定ラーメン。塩だれであえた麺にたっぷりのネギ、卵、そして焼いた軍鶏がのせられている。スープが添えられていて、麺につけてもかけても、そのまま飲んでもよいといわれる。そのまま飲んでみたが、軍鶏のダシは感じられるものの、ちょっと味のない感じ。おそらく、塩だれが濃いのでそのたれと混ざることを計算してのことだろう。

軍鶏は文字通り、闘鶏用に飼育されるため、締まった肉質になる。ブリブリした食感が特徴となるのだが、こちらの軍鶏は弾力を残しつつもやわらかい。そして臭みが一切ない。素材の味を胡椒でいただく。

そしてネギの尖った食感とねっとりした塩だれがよく合う。

ラーメンはB級であるべきで、となるとこの芸術的な盛り付けにはとまどう人がいるかもしれない。とはいえ、この手間暇かけた仕事を感じさせるこのラーメンには、その情熱の分だけ価値がある。チキュウは超えちゃったかもな。チキュウファンの方、ぜひ食べてみてくださいませ。

行列嫌いの私だが、とてもスタッフのオペレーションがスムーズなので、待った感がないのも魅力。

2毛作で金曜日だけ、「潮くろ喜」となり、魚介系のダシでラーメンを出す。魚介系というと蒲田の「麺場voyage」というイチ押しのお店があるが、ぜひ食べ比べてみたい!取材がてら立ち寄る身としては曜日限定というのが行きにくいが。。。
塩ラーメンファン、必食のお店。

プロフィール
提出用写真フリーライター 山際貴子 東京都中野区在住のフリーライターです。 IT系を中心に企業取材、インタビュー、コラム執筆を行っています。お仕事のご依頼はこちらからお願いします!→お問い合わせ

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