数回の引越しの末にまだ本棚にある本シリーズ。
桜井章一といえば、運が強く左右する麻雀において現役時代20年間無敗を誇った伝説の雀士。
この本はいわゆる麻雀の手牌から何切る?みたいな技術書ではない。後半で牌譜について解説をしているものの、それはごく一部分。
大半は編集者からの質問に答えるもので、麻雀をやる上での精神論というか、心構えを説いている。
近年では牌譜のデータベース化が当たり前になってきて、戦術については批判的な向きもあるようだが、私はこの本で繰り返し述べられている「感性の磨き方」について注目してほしいと思う。
たとえば、感性の磨き方のトレーニングとして、
「街を歩いていて、先にある電柱に何歩でたどり着けるか?」
というもの。歩幅を計算して、電柱までの距離を測って・・・というのはNGであくまで感覚で答えを導き出す。
こうしたことを繰り返して感性のズレを正し勘を磨いていくと勝負事で先が読めるようになるんだそうだ。
これは個々の仕事の見積もりの精度を上げることに通じるのではないか。
また、新しい場所に行ったら時計の位置、ソファの位置など見える景色を記憶しておく。
そうすると麻雀の卓上で他の3人の動きが自然と把握できるようになる。
つまり、視野を広くできるということだろう。
もちろんビジネスにおいて論理は必要だが、こういった感性も必要なんだと思う。
そのほかにも
「プロ」というのは努力や工夫のすごさがあって、自分の領域を死守できる人。
花が咲くには何年もかかる。やるべきことを続けてこそ強さの花が咲く。
など、思わず背筋を伸ばす名言多数。
自己啓発書としてもオススメできる本。