今や恋愛映画の旗手と呼ばれている今泉監督の作品。主演は三浦春馬さんや多部未華子さん、音楽と主題歌担当は斉藤和義さんと豪華豪華。
今泉力哉監督作品「アイネクライネナハトムジーク」
仙台在住の伊坂幸太郎さんが原作。物語の舞台も仙台で、オール仙台ロケとなっている。仙台なのでサンドウィッチマンのお二人も出演。
私も何度か仙台に行っているけど、仙台って駅周辺は都会なのよね。人が集まる場所でいろいろな人がいろいろな縁で交錯していく物語。出会いとはなにか、というのがテーマかな。
個々の俳優さんが光っているのは間違いない。森絵梨佳さんは主役の多部未華子さんより出番が多いんじゃないかというくらい露出してたし、キュートで飾り気のない感じがとてもよかった。これから求められる女優さんになるのだと思う。
ヤマギワMVPは佐藤役の三浦春馬さん。ひとつとして同じではない繊細な表情が、起伏の少ないストーリーに鮮やかな彩りを与える。これだけの芳醇な表情がカメラの前でできるってすごいんだなと改めて思い知らされた。
気になるのは、群像劇というところ。連ドラだと群像劇もいいなあと思うのだが、映画の限定された時間で語るのはちょっと無理があるのではないか。物語に掘り下げが足りない気がした。佐藤と紗季の関係性の変化ももうちょっと描写してほしかったな。
あっちもこっちも物語があって、ピントが定まらない感覚があった。でもこれこそ人生なんだと思う。みんながそれぞれの物語で主人公。どれがメインでどれがサブなんてことはない。
個人的には「愛がなんだ」の方が好きだが、この作品の方が今泉監督らしいという声も聞かれるので、他の作品も観てみよう。
恒松祐里さんが萩原利久さんと仙台の街を 自転車で 漕いでいくシーンも何気に好き。斉藤和義さんの歌を劇中でこだまたいちさんが歌っているが、素朴でじんわりと心にしみる歌声が素敵だ。
気楽にまったり観る映画。