「品のあるスープ」なんてB級グルメの代表格であるラーメンらしからぬ表現。でもこのお店のスープと穏やかな雰囲気はとても好きだ。
藤丸(東京都中野区)
中野駅から徒歩10分くらいか。飲み屋街から離れてポツンと建っているお店。コンクリート打ち放しの建物が特徴的で、店内はカウンター7席のみ。
昔は中野一ともてはやされ、行列も長かった印象があるが、今はそれほど待たずに入れるので普段使いの私としては嬉しい限り。
おじさま、というよりは「おじいさま」といっていいほどの年配の方もよく見かける。かと思うと若い男子もいるし、お子さんもいたりする。客層の広いのが特徴のお店なのだが、不思議と女性は少ない気がする。店内もおしゃれとは言わんがきれいだし、外観も洗練されてるし、なんでだろう。
昔は注文をとって前払い制になっていたが、今は食券が導入されているのでそれをポチっと。
鶏塩つけ麺(小盛)750円+半分卵50円
小盛は50円引き。味玉も半分からあるのが嬉しいところ。
デフォルトでは海苔、カイワレ、メンマ、鶏チャーシュー。鶏チャーシューも脂身は感じず、しっとりとした食感。
分類としては鶏白湯になるのかもしれないが、とろみは薄く舌触りはサラリ。塩味が強めの分すっきりと感じる。メニューには鶏塩ラーメン、醤油ラーメンもあるが、つけ麺の方がスープによく合っているのではないかと思う。麺は大成食品のもので、小麦のずっしりとした食べ応えがありつつ、ツルツルと食べられる私好みの麺。
おすすめは卓上に置かれている「えび辛」。これを麺にふりかけて食べるとピリッとして旨みが出る。最後はスープが真っ赤になるが、それほど辛いということはない。
最後は卓上にあるポットからカツオ香る割スープを注いで飲む。
辛つけ麺(中盛)800円+半分卵50円
麺は鶏塩つけめんと同じ。1~3辛を選べるが、3辛でも激辛にはならない。辛くなっても決してジャンキーにならず、洗練された辛味になっているのはすごい。
そう、このお店の良いところは、B級グルメのラーメンなんだけど、スープに品があるというところなんだな。年配の人が通うのもうなずける。
「子どもの来るお店は良店」という持論があるが、子連れの若いご夫婦がよく来ているのも雰囲気が良くて好ましい。
一時期しょっぱいなーという時もあったが、現在はまろやかになっている。もししょっぱさで敬遠している人がいたら、もう一度来てみてほしい。
なにか突出して良いということではないが、麺の完成度の高さとスープのすっきり感、味変の仕掛けとバランスが良い。メンマにえび辛をかけたのをつまみにビールをダラダラ飲めるのも私好み。
ニセラーメン激戦区と陰口をたたかれていが中野界隈だが、このところ実力店がどんどんできていて競争が激しくなっている。そのなかで、たゆまず堅実に営業されているように思う。
このお店なら週1で通ってもいい。使い勝手とバランスの良さを兼ね備えるお店。