箱根駅伝を調べていて関連書籍を探していたところで何故かヒットした本。本の内容が箱根駅伝に直接関連しているわけではなく、本質は栄養の解説詳しめの料理レシピ本だ。でも箱根駅伝の当日朝の勝負めしの紹介がされていて、読みものとしても面白かった。
早稲田大学競走部のおいしい寮めし(福本健一著・主婦の友社)
早稲田大学の競走部は、短距離・中距離・長距離・跳躍・投てきといったブロックに分かれている。この本が出版された時点で100名部員がおり、そのうち寮生は60名もいる。
著者は管理栄養士であり、競走部の寮監として食事面で選手をサポートしている。毎日60名の寮生のために朝ご飯と夕ご飯を作るのが仕事だ。著者の一日の過ごし方の紹介もされているが、朝4時半に起床して、昼間の自由時間を挟んで夕方から仕込みを始める。仕事が終わるのは夜9時半。そこから自分のご飯を食べるというハードな生活だ。
競走部のメンバーのコメントが載っているのだが、すごく信頼関係があり、毎回毎回食事を楽しみにしている様子が伝わってくる。
早稲田駅伝の象徴である渡辺康幸・前駅伝監督や、発刊当時部員だったオリンピック期待のマラソンランナー・大迫傑選手のお写真とコメントが掲載されていて、おっと思う楽しみもあり。
献立の組み立て方がわかる
「エリート競技者がどんなご飯を食べてるのか?」という興味だけで購入したが、結果的に日々の献立を作るのに相当役に立った。
トップ選手はもっと特別な食事をしているのだと思っていたが、ハンバーグとが、豚キムチ炒めとか本当に普通のメニュー。でもハンバーグにひじきを入れて鉄分を補ったりと一工夫されている。
また、揚げ物は週1回、オーブンを使って調理することで油を極力使わないなど、すみずみまで配慮されている。我が家でもオーブンは使えないが、この本の教えに従い、フライは週一で、なるべく魚焼きグリルをつかうようにしている。
寮めしでは一汁三菜が基本。本書ではどんな食材を入れていけばバランス良くなるのかが解説されているので、それをもとに献立を組み立てることができる。
選手のコメントで「何をどんな割合で食べればよいかがわかってくるので、外食した時もその割合で食べればよい」というのがあり、なるほどなと思った。単に痩せるためなら食べる量を減らせばよいだけだが、それでは必要な栄養素を十分にとることはできない。なるべくカロリーを抑えて幅広い食材を食べるのが、結局おいしくて体にも嬉しいのだなと最近思うようになった。
工程が簡単・調味料が少ない・でもおいしい!
この本のすごいところは栄養面で考えつくし、なおかつおいしい食事を提供しているということだ。そして福本さんのやさしい笑顔がすべての料理に反映されている。やはりおいしいご飯って食べて幸せだし、作ってくれる人の愛情も感じるよね。
しかも60人分を作る寮めしのレシピなので、調味料も必要最低限のみ。料理の工程もとてもシンプルだ。これは助かる~。
色どりも考えられていて、寮の定食なのにおしゃれで工夫されてるなあ。いちばんおすすめしたいのは育ちざかりのお子さんを持つ親御さんだが、大人の食事にも役立つおすすめの本。