10代の夏休みは、忘れられない体験だ。柴田啓佑監督「あいが、そいで、こい」

高校生の時見たかったよね、こういう苦い青春映画。

高校生で映画を見れるなんて、地域的に限られている。 でもこれはぜひとも映画館のできるだけ大きなスクリーンでみてほしい!

柴田啓佑監督「あいが、そいで、こい」

イルカ調教師を志す留学生のワンと、バスケ部の最後の試合でケンカして罰としてイルカ調教に参加させられた亮との一夏の物語。

引きの構図を多用しているのが特徴的。そして、その絵ひとつひとつに物語がある。これはちょっとテレビではできないよ!ただの風景映像になっちゃうもの。開放的な、芳醇な映像がすごく印象に残った。

ところで「カメラを止めるな!」に出ていたどんぐりさんが、いまめちゃめちゃ活躍している。カメ止めもそんな出番が多いわけではないのに、一度見たら忘れられない特異なビジュアルで存在感を示した。今出演しているテレビドラマ「ルパンも娘」も素敵よ。証券会社の営業、裁判所の事務官を経て50歳で芸能の道を志し、今の活躍。映画ってそんな飛躍の可能性を秘めているんだなと思う。

この作品は、カメ止めと同じENBUゼミナール・シネマプロジェクト第8弾の作品。ワン役の小川あんさん以外はワークショップのオーディションで選ばれた。

ヤマギワMVPは亮役の高橋雄祐さん。高校生の不器用さ、危うさが表現されていて、27歳と知ってビックリした。 ワン役の小川あんさんも、媚びない可愛さと真の強さが好き。学業に専念されるということだが、女優であるべき方だと思う。由衣花役の中垣内彩花さんも存在感があって、他の役も見てみたいと思った。
亮の友達もそれぞれキャラクターが磨かれていて、セリフのタイミングも抜群に良い。

この映画はひと夏の物語の後日談がある。そこは大人編ということで別の人が演じるのだが、高校生役の俳優さんがすべてアラサーだし、彼らが高校生と大人の演じ分けをした方が、俳優としてもっとアピールできたんじゃないかと思う。

Less is Moreの音楽も映画の世界観とよく合っていた。夏休みにぴったりの透明感のある映画。

プロフィール
提出用写真フリーライター 山際貴子 東京都中野区在住のフリーライターです。 IT系を中心に企業取材、インタビュー、コラム執筆を行っています。お仕事のご依頼はこちらからお願いします!→お問い合わせ

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