吉岡里帆さん出演のR15作品と聞いて観に行った。
森淳一監督作品「見えない目撃者」
事故で視覚を失った元警察官が聴覚・触覚を頼りに事件の謎を解き明かすという物語だ。
大倉孝二さんや田口トモロヲさんという名バイプレイヤーが脇を固め、吉岡里帆さんと高杉真宙さんが演じるというキャスティングも良い。黒猫チェルシーの渡辺大知さんも出番はちょっとだけだったが、彼の出ていたシーンは今でも印象に残っており、役として効いていたと思う。
しかしR15ならやはりR15たる必然性を納得したいという思いが個人的にはある。猟奇的な殺人鬼を相手にするのだからR15でもちろん理由にはなるのだが・・・
作品そのものがR15で表現したいテーマとはとても思えず、実際2時間のテレビドラマスペシャルを見ているような感じだった。
テンポもいいし、画面に迫力もある。でも犯人が猟奇殺人に走る心の動きや、事故にあってからの主人公・なつめの苦しみや事件に向かわせた心情が作品からは理解できない。
ただただスリリングな展開を追求しているように思える。 R15でなくてもよかったのでは。テレビドラマでも猟奇殺人は扱っているのだから、もっと幅広い層で楽しめるエンターテイメント的な映画でもいいのかなあと思った。
ヤマギワMVPは盲導犬役のパル。地下鉄のシーンはパルの名演技あってこそ。よく人間と協調してあんな動きができるよね、と感心してしまった。
そして初めて演技を見た 高杉真宙さん は、イケメン枠から若干ずれるような気がしないでもないのだが、気品があってワルの役でも善良な役でも幅広くこなせる感じ。今後の作品を観てみたいと思った。
そして吉岡里帆さんの絶望と諦念が滲む表情にも注目。これはなかなかテレビでは見れません。パルとも息もぴったりだった。
ちょっとしか出てないのに途端に不穏な空気になる国村隼さん、出ているだけで怪演に見えてしまう酒向芳さんなど、いぶし銀の演技も堪能できる作品。